数々のランキングで一位、第134回直木賞も受賞。昨年を代表する一冊
東野圭吾
「容疑者χの献身」
彼は六度目の正直で受賞。このミス一位、直木賞候補と聞いて購入。結構ミーハーな理由で本を買います。
弁当屋で働く靖子は、元夫の富樫を殺してしまう。
自首しようという時に現れたのは、隣の部屋に住み、毎朝お店に弁当を買いにくる高校の数学教師石神。彼は言う、「自首をするつもりなら止めませんが、そのつもりがないなら何かお手伝いができるのでは」と隠蔽工作を自分が引き受けようとします。
石神の考えた計画で、捜査から逃れられるかと思われたが、石神の大学時代の友人であり、好敵手でもあった物理学者湯川、通称ガリレオ探偵が関わりだして来て…
これくらいの前情報で読むのが面白いんじゃないかな?僕がそうでした。
ここから下は、まぁ個人的な感想なんで、これから読もうかなんて考えてる人は見ないでください。
前に、どこかで聞いたか読んだか見たかは忘れましたが、こんなシーンが頭をよぎりました。
本当に私の事愛してるなら私の幸せを願ってくれるよね?
例えば付き合ってる人がいて、他に好きな人が出来て、別れる別れないで揉めてる時に出てきそうなセリフです。
本当に好きなら私のために諦めてくれと。
別に石神は靖子と付き合ってるわけじゃないし、挨拶くらいしか交流が無かったのに、なぜ石神は靖子を助けるのか?それは好きだからです。しかし、石神はこれをきっかけに靖子と仲良くなろうとかそういう魂胆があるわけじゃないんです。全ては好きな人を不幸にしたくないゆえの行動なのです。
はっきり言って、僕には愛がどういうものかわかりません。好きって感情は理解できないけど解るし僕も持ってます。
好きという理由だけで、ここまで自分を犠牲に出来るのか?確かに、犠牲に出来る自分がいるのは靖子がいたからかもしれないけどさ…。
そんな石神に、この作品に、僕は愛の一つの可能性を見た気がした。
だからこそ最後のシーンには胸を打たれた。
だったら最初から自首しておけばこんなことにはと思わないでもないけど。
タイトルにも現れているように、この作品は容疑者χすなわち石神の献身なのですからね。
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