目的地にまでは7,8時間かかるらしく、することも無いので携帯のアラームを到着時間よりちょっと早くにセットしてマナーモードに設定しておいた。
バスが走り始めてからどれくらい経っただろうか・・・。
景色が流れていくの眺めていたら、僕はいつの間にか冷たい窓に寄りかかりながら眠ってしまっていたらしい。
その冷たさに目が覚めてしまったのか、それ程長く眠ってはいない感じだった。
ふと周りを見渡すと反対側の窓際に少女が本を読んでいた。
特に気に留めるでもなく僕は再び目を閉じた。
一息する間もなく足元に何かが当たったような気がして目を開いた。
足元を見るとオレンジ色のペットボトルのふたが輪を描いていた。
「すいませんっ」
どうやら彼女の物らしい。
僕は寝ぼけながらも背を丸め足元のオレンジ色のふたを彼女へ渡した。
「どうぞ」
僕がそういうと彼女は軽く会釈をし、揺れるバスの中を自分の席へと戻っていた。
そして僕は再び目を閉じた・・・。
セットしていた携帯のアラーム(バイブレーション)が僕の目を覚ました。
何気なく反対側を見たが、彼女の姿はなかった。
外を見るとあたりは暗く最初は分からなかったが、辺りは一面雪景色だったのに気がついた。
ずいぶんと田舎まで来てしまったものだと心の中でつぶやいた。
第2話 かゑる
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